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トラブルが発生する要因

 

 新築/増改築においてトラブルが発生する建設プロセス上の要因を考察すると次のように分類されます。

 

  1. 建築基準法第6条の4の規定に基づく建築物(「型式認定に適合する建築物(プレファブ住宅など)」「木造平屋/2階建ての住宅など」)は、「確認の特例」を受けることになり、建築主事の審査を要しないことから建築物の内容を示す詳細設計図が添付されていないケースが多々あります。そのため、工事段階に至っては、その建築物の品質は施工者の腕次第ということになります。ところが、施工は基礎工事/軸組(「プレカット工場」)/大工/内装/設備/外構などに分業化され、工事を請け負ったところの組織または現場担当者がきめ細かな指示を出し、確認していなければ、分業化の一部、及びその接点で欠陥が生じても、その欠陥が解消されないまま引き渡されてしまうことになり、居住後トラブルが顕在化します。一般的な「木造住宅」に多く見受けられるケースです。

 

  2. 工事の進捗に伴い、工事請負金額内で工事を続行することが困難となり、設計内容を下回る仕様で工事が遂行され、引

      き 渡し前後でトラブルが顕在化するケースです。店舗内装工事/店舗併用住宅や、リフォーム工事などの建築物に見ること

      ができます。また、追加変更金額に関するトラブルも建築用途を問わず発生しています。

  3.  複雑な形状をした建築物などで、各部の納まり方法が適切でない場合に生じる「雨漏れ」「亀裂」「結露」「隙間」等の不具合

       です。意匠設計者が別に存在する注文住宅などに多く見られます。

 4.  事前調査が不十分な状態で、過去の経験を頼りに施工が行われ、「不同沈下」「亀裂」「傾斜」などの不具合が生じるケース

      です。所謂、「地盤・基礎に係る欠陥」「擁壁の欠陥」などに相当します。

 

 5.  工期が短く、施工が雑になり「防水不良」「雨漏り」「タイルの剥離」「鉄筋のかぶり厚さ不足」「亀裂」などの不具合現象が生

       じるケースです。分譲マンションのトラブルに該当します。分譲マンションは、部屋数の確保/床面積の拡大/高い天井の確

       保などら、「逆梁」「セットバック」「ボイドスラブ」などが用いられ、非常に複雑な形状をしたものもあり、短工期で施工する

       には無理があります。そのため、最上階(「防水不良」「雨漏り」など)/外壁仕上げ(「タイルの剥離」など)に支障が出ること

       になります。

 

  6.  「型式認定」住宅において、ハウスメーカーの指定するマニュアルが遵守されていないケースです。設計上問題がある場合

       と工事に問題がある場合がありますが、両方に原因がある場合も見受けられます。「型式認定」がブラックボックスとなって

       いため、欠陥の判断は難しいところです。

 

  

       その他、増改築工事において、「増改築部分と既存部分が一体化され、建築基準法の規定を満足しない」ケースなどもあ

       ります。これは、建築基準法を十分把握していないリフォームを安易に考える業者が行うところに問題があります。

         また、最近はマンションの大規模修繕工事、専有部分のリフォームにおけるトラブルも多く見られます。改修工事・増改築

      工事などの既存部分に関係する工事は、契約時点で、工事をする部分の現状が明らかでない箇所があるにもかかわらず、

      発注者側(相談を受けたコンサルを含む)が、金額のみの比較でもって低額で工事を発注する傾向にあるところに問題が

      潜んでいます。新築工事に比べ、リスクが大きい改修工事・増改築工事は、信頼できる専門家に相談し、マネジメントを依

      頼することが肝要です。

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